2013年に公開されたスペインのサスペンス映画『ラストデイズ(2013年)』のあらすじや感想をご紹介します。

ネタバレ内容含みますので、映画をこれから楽しまれる方は読むのをご注意くださいね。

【執筆は映画が大好きなライターSUGURUさん(30代、男性)です】

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映画『ラストデイズ(2013)』監督キャスト

【画像引用:Amazon】


『ラストデイズ(2013)』の予告動画です。

映画『ラストデイズ(2013)』予告編

  • 監督・脚本:ダビ・パストール/アレックス・パストール
  • マルク・デルガド:キム・グディエレス
  • エンリケ:ホセ・コロナド
  • フリア:マルタ・エトゥラ
  • アンドレア:レティシア・ドレラ


  • 映画『ラストデイズ(2013)』あらすじ


    はじめに
    この作品は、現在と過去(回想)を何度も交互に場面転換しながら物語が進んでいきます。
    時間軸がわからないと、混乱しがちな作品となってしまいます。
    【現在】【3ヶ月前】と大きく分けて表記していますのでご理解頂ますようお願いいたします。

    中盤までのあらすじ


    【現在】
    荒廃したスペインの都市・・・。
    つい最近まで都会であった場所には、もう人がいなくなっていました。
    ポツンと主人公マルク・デルガド(演:キム・グティエレス)が独り、「屋内」で立ち尽くしています。


    【3ヶ月前】
    忙しない都会。
    足早に動く人々は、高層ビルや駅のエスカレーターを登り降りし、時に満員電車の中をマルクは人詰めにされていました。
    しかし、そんな日常を破壊する予兆が刻々と迫ってきていました。
    テレビのニュースで一際目立ったある事件がありました。

    とある暗い少年が両親に向けて残したビデオメッセージ。
    「出れないんだ」と彼は告白すると、銃を自身に向けて自殺したのです・・・。

    その少年が死ぬシーンは(※実際には死ぬ瞬間は映像上では写りません。)、センセーショナルな為、多く報道され、人々にショックを与えました。
    しかし「変なやつはどこにでもいるさ」と、気の止めない人がいたことも確かです。
    ただそんな“変なやつ”はマルクのすぐ側にもいました。

    何日もずっと同じスーツを着た中年従業員ロビラです。
    周囲の人間も彼の事を不審がっていました。


    【現在】
    多くの人々が、食料の配給を受け取ります。
    その中にマルクはよく知る見覚えのある顔を見つけました。
    GPS端末を隠し持つ彼は、エンリケという職場の上役(≠上司)でした。


    【3ヶ月前】
    マルクの仕事は、セキュリティプロトコルの責任者。
    しかし、そこへ“死刑執行人”と揶揄されるエンリケが会社にやってきました。
    彼が現れると、クビを切られる(解雇される)人が必ず出たからです。
    そしてマルクは、その彼に呼び出されてしまうのです。
    今行っている仕事を「必ず」今月中に片付けるようにと・・・。

    そんな命令を受けた為、夜遅くまで会社で仕事を続けるマルク。
    しかし行き詰まった彼は、生き抜きに恋人フリアに電話しました。

    フリアは、アンドレアと共に、子連れ客の多いトイショップで勤務しています。
    たわいない電話に、マルクは一時の安らぎを感じ、フリアの言葉に急かされ、会社を後にしました。

    そんな平和な日常とは裏腹に、ある日奇怪な事件が社内で起きました。
    あのロビラが「外にはいけない!」と連呼し、背広の男達に外へ連れ出されていました。

    その時です。
    「外」に出た途端、ロビラは過呼吸になり、痙攣し始めます。

    男達は、何が起きたのかわからず、今まで無理やり抱えてきた彼をそっと地面に下ろします。
    それでもロビラの異常は続き、ついには泡を吹き出すほどに・・・。
    これにマルクが急ぎ、男達に指示して建物の「中」に入れますが、結局ロビラの死亡をマルク自身が確認する羽目になりました。

    多くの人が彼の死に何事かと集まり、その中にはあのエンリケもいました。
    マルクが彼を見ると、彼は(ロビラを解雇した為)バツが悪そうにそそくさと去っていきました。

    この日より、マルクの不安が消えることはありませんでした。
    フリアにロビラの死を打ち明けると、彼女も心を痛め、優しくマルクを気遣います。
    そして二人はその夜ベッドで愛し合い、心を温め合うのでした。


    【現在】
    ロビラの持ち物からGPS端末を盗んだエンリケに、マルクが詰め寄り、共に行動して欲しいと嘆願します。
    彼女フリアの所へ行く為には、何としてもそれが必要だったからです。
    始めこそエンリケはこの提案を拒否しますが、今の破滅的な状況に条件を飲まざるを得ませんでした。
    こうして、マルクとエンリケは、地下道や下水道を駆使して、絶対に「外」に出ないようにして、人探しの“旅”に出発するのでした。

    何故「外」に出ないのかというと、マルクやエンリケを含め、全ての人類がこの時「外」に出ることができない奇病(公式やその予告等では「広場恐怖症」と表現)になっていたからです。
    しかも、3ヶ月も人類は「外」に出れない状態に陥っていました。

    勿論、多くの人間が外に出ようと試したものの、皆が心臓発作を起こして死んでいきました。
    車に乗っていたとしてもそれは同じでした。
    もはや治ることのない恐ろしい病に、人類は苦しめられていたのです。


    映画『ラストデイズ(2013)』あらすじ、ネタバレ含みます


    フリアの妊娠を知るマルク

    【現在】
    地下を彫り続け、かつての地下道をつなげていく人類。
    そんな様々なトンネルを、マルクとエンリケは、懐中電灯やGPSを手に進んでいきました。
    しかし、ある地下道では、自暴自棄になった警官とその息子にGPSの入ったカバンを盗まれたりし、銃撃戦を行わざるを得ないという大変な目にあいました。

    やっとのことで、フリアの住むマンションに到着するもの、そこには住む場所を探していた見知らぬ外国人(一家)しかおらず、彼女はいませんでした。
    ただそこでマルクは、エコー画像(超音波検査)の画像が映った資料を見つけてしまいます。
    それはフリアが妊娠中であったことを示していたのです。
    この事をマルクは知らなかったのです。


    【3ヶ月前】
    ある時、世界中の異変が伝えられたニュースの中で、「(こんな状況では)出産もできない」というフレーズに、マルクは「こんな時に出産だと?アホどもめ」(字幕通り)と口走ってしまいます。
    世界が終わるかもしれないパニックに、マルクは大変不安だった為ですが、フリアはこの言葉に傷つきます。(この時すでに彼女は妊娠中。)
    そしてフリアは、いつまでも結婚してくれない彼が、子供を持つことが怖いのではないかと問い詰めます。
    結婚を先延ばしにして、子を産めなくなるまでそうするのではないかと・・・。

    こうして、二人は喧嘩別れをしてしまったのです。
    そして今では連絡を取ることもできません。
    無理して外に出ようとしても、もうマルクは完全に「外」に出れなくなってしまっていたのでした。


    マルクとエンリケの絆

    【現在】
    待ちわびた恵みの雨に、マルクやエンリケ、外国人一家は歓喜します。
    水道もこの頃はもう使えなくなっており、窓から水を汲んでいたのです。
    彼らはこうして何とか命をつないでいたのでした。

    しかし、いつまでもここにはいられない為、再びトンネルや下水道をつたって、マルクとエンリケは再出発しました。
    ところが、フリアが働いた店に行きたいというマルクに、エンリケが約束を守れと激怒し、行き先は、エンリケの病気の父がいるデル・メル病院となります。
    エンリケには、父が唯一の家族だったのです。

    ただ、進む道はまたまた険しいものでした。
    バルセロナ動物園から抜け出したクマが襲ってきたのです。

    これをマルクのおかげで撃退し、エンリケは命拾いをします。
    そうして倒したクマを焼き、二人で食するのでした。

    絆の深まった二人は、腹の中を割って話をしだしました。

    マルクの解雇が実は決まっていた事、とある孤独死した男の話等を、冗談を交えながら語り合いました。
    そしてエンリケは、父親と今は沢山話がしたいと切に願います。

    マルクも妊娠中のフリアに、「子供はいらない」と言ってしまったことを打ち明けます。
    これには、辛気臭くしていたエンリケも「お前には勝てない」と笑い合うのでした。
    子供が欲しいもののマルクは守る自信がなかった為に、ついあのようなことを言ってしまったのです。
    そして、「今」はなおさらだと・・・。
    世界が終わりと思うマルクですが、エンリケはまだ希望はあると彼をなだめるのでした。

    エンリケとの別れ

    しかし、エンリケには不幸が訪れます。
    地下道を行く途中で、デル・マル病院が火事になった情報を得て、そこへたどり着くも、その情報通り、病院は炎上していたのでした。
    それを高層ビルの上層階から見たエンリケは、絶望し膝をつきます。

    これにマルクは言葉がでません。
    さらに、エンリケは椅子を窓に叩き割り、そこから飛び降りようとします。
    「点滴に繋がれた父親(5階が病室)が助かる見込みはない」
    「本当はわかっていたがごまかしてきたんだ」と言いながら、窓際にエンリケは立ちます。

    ですが、「ごまかし続けるしかない」とマルクは振り絞って言わざるを得ません。
    そして、フリアを見つける為にも、マルクはエンリケには生きてほしいと懇願しました。
    飛び降りるのをとどまったエンリケですが、もう動く事をやめてしまいます。
    そしてある種の袋をマルクにあげました。

    「子供のためにあげろ」
    「お前は約束を果たしてくれた」と彼は言うと、そこでタバコを吸い、脱力するのでした。

    マルクは断腸の思いでしたが、フリアを探しに行かなくてはなりません。

    一人で進み続けるマルクでしたが、一難去ってまた一難。
    ビル内のとある階では、高いバリケードがつまれ、その先への進入を頑なに拒む集団がいたのです。
    そんな中でも、マルクがフリアの写真を見せると、彼らは
    「上の階かもしれない」と少しばかり気遣ってくれました。
    ただ、「上の階は厄介」とも彼らは言います。

    とその時、急にその集団に攻撃をしかける別の(上の階の)集団が現れます。
    不意をつかれた彼らは、やられていき、バリケードは壊され、燃えていくフロアを、ただただマルクは逃げて進むしかありませんでした。

    ここで偶然にもアンドレアと再会できました。
    空腹のため、上の階の連中が暴動を起こしたと、彼女は教えてくれました。
    そして、フリアが婦人科へいったことも教えてくれました。
    しかしせっかくの再会も虚しく、すぐに炎と「外」のはざまに挟まれたアンドレアは崩れてきたコンクリにつぶされ死んでしまいます。
    マルクも武装集団に殺されかけそうになります。

    もう駄目かと思ったそこへ、エンリケが助けに来てくれます。
    ただ直後、武器を持つ少年によって腹(の脇)を刺されてしまいます。
    それに反撃しようとするエンリケでしたが、まだ年若い少年を殺すことはできず、ひとまず燃える建物の中から、マルクと逃げ出したのです。

    アンドレアの持ち物だかを見つけたマリクは、ついにフリアの居場所をつかみました。
    ライェタナ通り54番地。

    地下道を通り、その近くで地上に上がってみると、そこは映画館でした。
    そしてその向かいの建物が、フリアの居場所です。

    ただ、トンネルが埋まっていて向こうへはいけない為、何とか窓越しにフリアを探します。
    そして、向かいの建物の窓の側を見ると、そこにフリアがいたのでした。

    必死に窓ガラスを叩きつけるマルクに、フリアは信じられないという顔をします。
    彼女は、マルクを見つめ、涙しながら大きく声を上げて笑い続けました。
    手を口に抑えて、マルクはやっと見つけたと涙します。
    しかし、二人には最大の難関が待っています。
    「外」に出なくてはいけません。

    マルクは、エンリケに彼女を見つけたことを伝えに戻りましたが、彼は映画館の椅子に腰掛け、弱りきっていました。
    エンリケの腹横には大きな傷があり、血まみれです。
    そして彼は死を覚悟していました。

    命の恩人の彼を見捨てられないマルクに、エンリケは最期の言葉を伝え始めました。
    「2人がおまえを待っているぞ」(2人とは、フリアと子供の事)

    泣くマルクに、エンリケは笑って彼を慰めます。
    「(中略)独り心臓発作を起こすよりマシだ。少なくともお前がここで見ててくれる」
    (「一人」ではなく「独り」。字幕原文のまま。)
    エンリケは、血の就いた手で、優しくマリクの顔をなでます。
    苦しい中でも最期まで、エンリケは笑いかけてくれています。
    そして、すっとなでる手の力が抜けました。

    エンリケは静かにマルクに看取られて、安らかに永遠の眠りにつくのでした。
    マルクは、独り映画館で涙し、「外」へ行く決意をするのでした。

    フリアとの再会、そして希望と未来

    静まり返った街・・・。
    エントランス(大きな窓で囲まれた玄関/外ではない)に出た、マルクとフリア。

    マルクは、エンリケがくれた種を握りしめて、ついにゆっくりと外へ出ます。
    彼は「外」の空気を感じゆっくりと歩き続けます。
    だんだんと息が荒くなっていくマルク。
    苦しさから耳から血が流れ出ますが、それでも進み続けます。
    その顔はもはや鬼の形相。
    当然、フリアは彼を心配そうに見ています。
    目は血走っていき、さらに無理やり進み続けた彼の見る世界は真っ白になり、彼は倒れ込んでしまうのでした。

    ただ、目を開けた時、フリアが彼を覗き込んでいました。
    そう・・・彼は、ついにフリアのもとにたどり着いたのでした。
    フリアは、涙しながら笑いかけマリクを呼びます。

    「私の愛しい人」

    しばらくすると、フリアの“幸せ”の絶叫が響きわたり、無事出産が終わります。
    立ち会い、介助したマルクは、元気に泣く赤ちゃんを彼女に抱かせてあげます。
    二人は喜び合い、世界は輝いていました。

    (以降セリフはありません。)
    時が経ち、エンリケのくれた種は、緑豊かな木々や野菜として育ち、実を沢山つけて、彼らの住処を守るように覆ってくれました。
    マルク、フリア、そしてエンリク(彼らの子/名前はエンリケからとったもの)は、その住処で幸せいっぱいに暮らしています。

    少しまた時が経ち、ヨチヨチ歩き出したエンリク。
    すると、すっと「外」を歩き出しました。
    マルク達と違い、エンリクは「外」に恐怖することなく、出ることができたのです。
    これを笑いながらマルクは見て、ついに“希望”を見出したのでした。

    さらに時が経ちます。
    少年へと成長したエンリク。
    (外へ出れないので)建物の中から叫び、息子を手招きする母親の下へすぐに彼は戻ってきます。
    同時にフリアは、マルクも招き呼ぶと、「外」へ向け指を刺しました。

    「外」から、少年少女達が歩いてきたのです。
    一家のもとに“迎え”に来た彼ら・・・。
    すっとエンリケを抱き、マリクとフリアは彼を名残惜しそうに見送りました。

    不安そうなエンリク・・・。
    涙をふくフリア・・・。
    それでも少年少女達はすっと出発します。
    エンリクも両親を振り返るが、すぐに彼らを追って去っていきました。
    マリクとフリアは抱き合って、我が子の無事を祈り、そして“未来”を託すのでした。

    こうして、まばゆい太陽の光が照らす中、多くの植物が生い茂ったかつての都会の街を、少年少女達は一歩一歩進んでいくのでした…。

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    感想


    予告等では、「広場恐怖症」と表現された本作ですが、例えるならば、全人類が(死に直結する)うつ病になってしまったかのような世界を描いています。

    また、本作は吹替版がなく、スペイン語音声の字幕版での鑑賞のみとなり、日本人からすると、スペイン語が早口に聞こえ、より一層焦らされるように感じました。
    むしろパニック映画なので、その点は良い方向へ向かったと考えています。

    ちなみに、本作のレビューでは批判的意見もいくつか見かけました。

    とはいえ、個人的には決して「不出来」とまでは思いませんでしたし、合格点はあげても良いと思います。
    ただ、場面転換(現在と回想の行ったり来たり)が激しい為、ちゃんと全てのシーンを見ていないと、ストーリーの把握が難しいのは確かです。

    時系列もかなりバラバラの為、「これはあの時とあの時の間だな」と理解できるかもポイントになってきます。
    このストーリーの流れの「わかりにくさ」も、評価を下げているのだと思います。
    また全ての原因(と結果)が明らかにならないのも、評価が分かれることでしょう。

    ただパニック映画においては、時に「わからない」からこそ不安を表現できるものですから、その大前提を無視して、無理に白黒はっきりさせようとすると、本作だけでは答えが出ないので、モヤッとしてしまうことでしょう。

    特に今作では、人類皆が「広場恐怖症」となってしまいますが、原因は結局わかりません。
    原因の一つの説として、「3ヶ月前」のシーンの中で、テレビのニュースで火山灰が欧州中に広まったという表現があり、自然現象的原因が捨てきれません。
    ですが、これだけを原因とするには無理がありそうです。

    対して、人間ドラマは良く描かれており、俳優陣の演技も迫真でしたので、そういったマイナス点をよくカバーできたとも思います。
    エンリケとマルクや、フリアとマルクの関係性の成長も中々見応えがありました。
    マルクが、二人に比べて時に大人げがないキャラクターだったので、よりラストに至って成長した姿に感動させられました。

    また、字幕版の良さも感じられました。
    エンリケに関連して、「一人」ではなく、「独り」(で死んでいく)という表現がありました。
    これは、吹替版で「ひとり」と言われてしまうと判断ができなかった事かもしれません。
    特に、孤独感が際立つシーンであった為、ここで「独り」と描かれている所は、「なるほど良いな」と感じいりました。

    以上のように、良し悪しあったものの、ラストで未来に向けて、最後は満たされて終わったこと、温かい気持ちで見終える事ができた事を考えると、「終わり良ければ全て良し」と言って良いでしょう。

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